
取り壊し前の建物で現代アート展。「150年」を見てきました
- On 2025年2月28日
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ただの展覧会と言ってしまってはこの「150年」を言い表せてはいないなと思います。
再開発により一帯の建築物の解体が決まったという、東池袋の一角。そんな機会を活かして、6棟の建物を使ったアートが体験できるということで、足を運びました。
築古建物を扱わせていただいている私からすればまだまだ現役でピッカピカのお宅。もう今年中には解体されるそうです。
表札もそのままなのか、あるいは展示なのか…(たぶん退去時そのまま)
そして上の写真をよく見ていただくとわかるかと思うのですが、このたび壁をぶち抜いて、お隣の建物の壁もぶち抜いて、建物同士行き来できるようになっています。取り壊しが決まっているエリアでないとできないこと。これが斬新な体験でした。
玄関ではないところから隣の建物に入ると、体感として部屋を行き来しているような感覚となります。本来別々の暮らしの営みがあった建物同士が有機的に繋がっているという、新しい視点。それでいて、やはり本来別々の家庭が別の暮らしをしていたわけですから、建物ごとにまったく個性の異なる間取り、内装、そして部屋の使われ方があって、それがとても人の生きていた痕跡を感じ、ざわざわとします。
個人的にはこういうさりげない実家感が刺さりました。これはたぶん展示なのかなと思いますが…この階段の雰囲気が、リアル自分の実家とちょっと似ているのもあります。
建物ごと・部屋ごとに異なるアーティストがそれぞれの部屋を活かした展示をおこなっていて、それも個性豊かで面白かったです。
なんかうごめいている和室。
グレーに塗っちゃった仏壇と部屋。
仏壇もこうやって使っていけるのか…という学びを得ました。
建物と、人の営みと、そして新たに生命を吹き込む人たちとが交わる空間を感じたことで、建物って面白いなあという気持ちが強まりました。
(春菜)